[大阪市]東中島の本庄街道道標


既に紹介した「宮原の横関街道道標」の近く、新大阪駅を挟んで南にもう一つの道標が残っています。
新大阪駅の東南、線路沿いの道から少し斜めに分岐しているのが横関街道で、その突当りのマンション入口脇に地蔵があります。

下2/3が道標を兼ねています。

道標から西に進み、JR線路あたりで左折して南に向い、本庄の渡しを渡ると大阪市街の曽根崎方面に行くことができます。明治時代には大阪府により「本庄街道」と呼ばれていました。道標に「右ほん庄」とあるのはこのことを指します。
「左よこせき」とあるように、東に進み、右折して南に向い、横関の渡しを渡ると、天神橋筋に出ることができます。

道標中央には「北かちおじ」とあります。
この道標は北面にしか文字が無く、北から南に向う旅人を対象にしたものですが、「北かちおじ」を書き加えることにより、北に向うと池田、箕面勝尾寺方面に行くことができることを示しており、一面だけで3方向に対応したとても珍しい例と言えます。
なお、そのような特殊な目的を果たすためか、方向を「北」で示していますが、東西南北を用いる手法は他に例を見ません。

明治末の新淀川開削時に本庄横関いずれの渡しも廃止されてしまいましたので、いずれの街道も新淀川をはさんで南北に分断されて街道としての機能を失いました。
ほぼ昔のままと思われる位置に残っていることだけでも大変貴重ですが、更に、本庄街道を示す唯一の現存道標と言う面でも、とても価値の高いものと言えます。

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